- 松坂屋×PATEK PHILIPPE -
知られざる5つの秘話
パテック フィリップとより深い歴史を持つ「松坂屋」
パテック フィリップの創業は1839年。スイス時計業界でも屈指の老舗であるが、実は「松坂屋」の創業はもっと古い。松坂屋のルーツは、1611年に開業した呉服小間物問屋「伊藤屋」。その後「いとう」、「いとう呉服店」、株式会社「いとう呉服店」と名称を変え、1925年に松坂屋となる。呉服や洋服をはじめ、子どものおもちゃから化粧品、宝飾品など様々な商品を取りそろえた百貨店は、文化の発信源でもあり、人々の憧れの場所となった。
巨大な拠点から、新しい文化が生まれる
パテック フィリップは、1997年にプラン・レ・ワットの新社屋が完成。デザイナーも研究開発部門も時計師も同じ建物に入るため、作業効率が高まり、さらにハイレベルな時計作りが可能になった。一方、松坂屋は2003年に新南館が完成。北館、本館と結ぶことで、8万平米以上の売り場面積を誇る日本最大級の百貨店となった。 “扱っていないモノはない”ほど広大な売り場は、ぐるりと歩いて回るだけで様々な出会いが待っているだろう。
アイコニックな紋章が信頼の証となる
「カラトラバ十字」は12世紀に活躍したシトー派宗教騎士団の戦旗に用いられたマークで、パテック フィリップのシンボルとして1887年に商標登録された。一方、松坂屋のシンボルマークである「いとうまる」は、丸の中に井桁を組み合わせたデザインで、1784年の文書にはその明細が記され、すでにその商標が存在していたことが確認されている。このマークは店頭の暖簾だけでなく、「引札」と呼ばれるチラシにも使用されていた。
“遺産”を受け継ぎ未来へと進む
歴史に埋もれず前進するには、伝統を受け継ぎつつ革新を遂げなくてはいけない。その際に最も大切な指標となるのは自社のアーカイブだ。パテック フィリップには自社ミュージアムがあるが、松坂屋も江戸時代の小袖を中心に能装束、振袖、さらには古文書などの史料を大切に受け継いでいる。さらには時代の風俗を機敏に表したポスターも、松坂屋の伝統を知るための貴重な資料。伝統を礎に革新的であるためには、遺産を丁寧に守る必要がある。
審美眼を持つ顧客がブランドを作る
パテック フィリップが名声を得るきっかけとなったのは、王侯貴族や文化人、芸術家などから愛されたから。卓越した審美眼が選んだという事実が、ブランド力を作ったのだ。「松坂屋」も同様だ。顧客には夏目漱石などの名士が名を連ね、さらには多くの小説や随筆にも登場している。特に日本が近代化を進めた、明治から昭和にかけては、松坂屋は文化を発信する場所であり、トレンドの最先端。ゆえに多くの人を惹きつけた。