選びたくなる“必然”がある 独立ブランドH.モーザーの魅力 「H.Moser SELECTED EDITION」開催

文:名畑 政治 / Text:Nabata Masaharu

 1828年、スイス・シャフハウゼン出身の時計師にして起業家であったハインリッヒ・モーザーにより創業したH.モーザー。長い休眠期間を経て2005年、H.モーザーの魅力に突き動かされた時計技術者と創業者の子孫らの尽力によって奇跡的な復活を遂げた。やがて2012年、スイス・ジュウ渓谷の名門メイラン家がブランドを継承。「VERY RARE(ベリーレア)」というコンセプトを掲げ、ものづくりと経営の両面からさまざまな改革を断行することで体制を強化すると同時に、独創的な時計作り哲学から生まれた個性溢れるタイムピースによって時計界に独自のポジションを確立するに至っている。

 今回、全国5店舗のみで展開されるH.モーザー取扱店のひとつであり、東海地区では唯一の常設取扱店である松坂屋名古屋店 北館5階 GENTA the Watchにおいて、9月16日~9月29日の期間で「〈H.Moser〉SELECTED EDITION」と題したフェアを開催。他店では滅多に手にすることができないH.モーザーの個性が際立つタイムピースの数々を一堂に集めた今回のフェアで、是非、H.モーザーならではの時計づくりの世界に触れていただきたい。

〈H.Moser〉SELECTED EDITION
2026年9月16日(水)~29日(火)

フェア詳細についてはこちら

- おすすめモデル -

  • エンデバー・トゥールビヨン コンセプト ベンタブラック®
    1805-1200 詳細はこちら
  • ストリームライナー・センターセコンド パープルヘイズ
    6201-1201 詳細はこちら
  • パイオニア・レトログラード セコンド ミッドナイトブルー
    3250-1200 詳細はこちら

世界で最も黒い素材
ベンタブラック®の深遠なる世界

 H.モーザーの哲学を象徴する言葉のひとつに「レス・イズ・モア」がある。すなわち「少ないほど豊か」。これを体現するモデルが『エンデバー・トゥールビヨン コンセプト ベンタブラック®」である。

 

 ダイアルは“世の中で最も黒い素材”といわれるベンタブラック®。これはイギリスのサリー・ナノシステムズ社が開発した可視光線の最大99.965%を吸収する、世界で最も黒い人工物質のひとつ。その構造はカーボンナノチューブを垂直に並べることで可視光線のほとんどを吸収し、内部に閉じ込めて熱に変えるというもの。これにより、すべての光を吸い込むブラックホールのような黒さを実現した。

 これに着目し、いち早く時計のダイアルに採用したのがH.モーザー。そこにはブランドを示すロゴや時刻の指標となるインデックスがなく、ベンタブラック®ならではの純粋な黒を生かしたミニマムなアピアランス(佇まい)を実現。それでいてひと目で「H.モーザーのタイムピース」とわかる個性が際立っているのはさすがである。

 

 ムーブメントは、ふたつのヒゲゼンマイが誤差を補正しあって最上の精度をもたらすダブルヘアスプリング装備のフライング トゥールビヨン搭載自動巻きCal.HMC 805。ダイアル6時位置の開口部からは、一部がスケルトン化されたブリッジと洗練されたアンスラサイトグレー仕上げのトゥールビヨン脱進機の精妙な動きを観察することが可能となっている。

- MODEL DETAIL -

  • エンデバー・トゥールビヨン コンセプト ベンタブラック®
    税込 14,806,000円

    品 番 1805-1200
    ムーブメント 自動巻き
    ケース素材 ステンレススチール
    ケースサイズ 40.0mm
    防 水 3気圧
    パワーリザーブ 72時間

 

見る者を別の次元へいざなう
フュメ ダイヤルの魅力

 1920年代に世界を席巻したアール・デコという芸術スタイル。その中で突出した人気を獲得したのがストリームライン(流線型)と呼ばれる様式であり、これを取り入れた自動車や列車は「ストリームライナー」と呼ばれ、スピード感溢れるフォルムが新時代の象徴となった。

 これを取り入れ、H.モーザーは2020年に「ストリームライナー」を発表。滑らかな曲線で構成された流麗でダイナミックなフォルムのケースとブレスレットはH.モーザーの新しい時代の到来を宣言し、今やブランドを象徴する基幹コレクションへと成長した。

 

 この「ストリームライナー・センターセコンド パープルヘイズ」は、H.モーザーが得意とする「フュメ」仕上げを用いたパープルカラーのダイアルが特徴。センターの明るい部分から周辺に向かってダークに変化するグラデーションが、この上のない美と上質感を演出。「フュメ(fumé)」とはフランス語で「煙」。漂う煙のごとく、微妙な濃淡により豊かな表情を見せる紫の文字盤は文字通り「パープルヘイズ(purple haze)」=「紫のかすみ」の如く、我々を夢幻の世界へといざなう。

 このダイアルに施された「H.Moser & Cie.」のロゴは透明ラッカー仕上げ。これにより光の加減でロゴが現れ、また消える劇的な効果が生まれた。

 

 サファイアガラスのケースバックからは、オープンワークが施されたゴールド製ローターを持つ自社製造による自動巻きCal.HMC 201が可視化でき、上質な機械式時計を持つ喜びを存分に味わえるだろう。

- MODEL DETAIL -

  • ストリームライナー・センターセコンド パープルヘイズ
    税込 4,697,000円

    品 番 6201-1201
    ムーブメント 自動巻き
    ケース素材 ステンレススチール
    ケースサイズ 40.0mm
    防 水 12気圧
    パワーリザーブ 72時間

 

繰り返される永遠の時の流れ
レトログラード・セコンドの精緻な動き

 深まりゆく夜の空を思わせるミッドナイトブルーのフュメ ダイアル。その6時位置の開口部に設置されているのは、30秒ごとに秒針がゼロ復帰して秒を刻むレトログラード方式のセコンド・インジケーターである。

 

 

「レトログラード(Retrograde)」とはフランス語で「退行」や「逆行」を意味し、時計では針が回転ではなく、一定時間ごとに「退行」(ゼロ位置にジャンプ)して時や分や秒を示す機構をいう。これだけなら今までにも存在したが、H.モーザーの「パイオニア・レトログラード セコンド ミッドナイトブルー」では、秒針の「退行」を実現する特殊なカムと爪が開口部で作動し、秒針のダイナミックな動きを一層、強調して示す点に特徴がある。

 

 ミッドナイトブルーのダイアルに施されたロゴはクリアラッカーによるもの。光の反射角度により、時にはほのかに、また時にははっきりと姿を表すロゴが、時の流れやモノゴトの移り変わり認識する契機となるに違いない。

 ムーブメントはH.モーザーが自社で開発と製造を行う自動巻きムーブメントCal.HMC 250に、レトログラード機構を得意とするパートナー、アジェノー社が手掛けたレトログラード・モジュールを搭載。それによって、この個性あふれるタイムピースを現実のものとなったのである。

- MODEL DETAIL -

  • パイオニア・レトログラード セコンド ミッドナイトブルー
    税込 4,268,000円

    品 番 3250-1200
    ムーブメント 自動巻き
    ケース素材 ステンレススチール
    ケースサイズ 42.8mm
    防 水 12気圧
    パワーリザーブ 72時間
文:名畑 政治
Text: Nabata Masaharu


1959年、東京生まれ。80年代半ば、フリーライターとして取材活動を開始。90年代からはカメラ、時計、万年筆、ファッションなどを題材に、メンズ誌・情報誌で取材・執筆。94年から毎年、スイス時計フェア取材を継続中。2009年からは時計専門ウェブマガジン「Gressive」の編集に携わり、2015年、Gressive編集長に就任。著書に「オメガ・ブック」、「セイコー・ブック」、「ブライトリング・ブック」(いずれも徳間書店刊)、「カルティエ時計物語」(共著 小学館刊)などがある。
※表示内容は、掲載時のものです。
※表記内容は予告なしに変更される場合がございます。
※商品の色目は、モニターやディスプレイの都合により多少異なる場合がございます。
※数量に限りがある商品もございますので、品切れの際はご容赦ください。

 

- COLUMN -